vol.48 東京縦断バス乗りつくしの旅[夏編]2「東大島〜亀戸〜向島百花園」


青年と巴士(バス)

草24系統で亀戸駅まで来た。駅から東へ少しゆくと亀戸サンストリートがある。ランブリング・マーケットという形態のショッピングモールで、中央にはイベントスペースとして使われる広場がある。ここで去年はBuzy(ビズィー)というダンス&ボーカルユニットのライブを観に何度も足を運んだ。この亀戸サンストリートの脇に伸びる遊歩道を南へまっすぐ下ると、学生時代にアルバイトをした経験のある郵便局がある。この亀戸周辺に足を運ぶようになったのはこの1〜2年。駅前にはほとんど来た事がないが、いつか亀戸餃子を食べてみたい。

ここから今度は向島百花園を目指して里22系統に乗る。予定を一つすっ飛ばしたおかげで、当初のタイムテーブルから10分遅れ程度にまで挽回する事ができた。向島百花園というぐらいだから様々な花で彩られた場所なのだろうと、バスを待ちながら心が咲き踊る。

百花園前でバスを降りると、目の前はもう向島百花園だった。…ただ、入口は見事にここから正反対の場所にあって、どこを通っても百花園の外周をグルっと回らなければならないようだ。ザっと見た感じ、それほど広い庭園ではなさそうだ。

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百花撩乱の園

ここへ来たのは朝顔があるという話だった。百花園の入口は小さな公園になっていて、ラジオ体操の会場になっている。夏の定番というやつだが、毎日やっているのだろうか。第2体操までやっているのだとしたら、ここの周辺の住民はラジオ体操の習熟度がかなり高いのではないだろうか。

入場料を払って中へ入る。右手に「きょう咲いている花」という札がかかった板があった。
「あ…あさが…アレ?」
朝顔が見当たらないがどうしたのだろうと思ったが、ひとまず中へ進む事にした。左から時計周りに進む。ところどころでアジサイがまだ色付いていた。アジサイスポットとして有名な場所ではないのかも知れないが、ここも悪くない。

年配の観光客の団体がコンダクターと思わしき人に説明を受けている。ヘチマの花が夏の日差しに鮮やかな紅色を向けている。とにかくいろんな花にカメラを向けたが暑くて仕方ないので、園内中ほどの池のほとりで少し涼をとる事にした。鯉が沢山いて、ちょっとイタズラしたい気分になったので、手をパンパン叩いてみた。食事と勘違いした鯉たちがいっせいに集まってきて口をパクパクさせ始めた。ああ、なんか金持ちになった気分だ(庭で鯉にエサをやる、というのは何となく金持ちっぽい)。ゴメンよ。そんなんじゃないんだよ。騒がせて悪かったね。

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ポップなバスを待って

どうも、朝顔云々というのはこちらの勘違いで、7月末から開催される大輪朝顔展の事だったようだ。要するに、訪れるにはまだ早かったのだ。せっかくお金を払って入場したし、時間もまだ少し余裕があったのだが、なにぶん3クウォーターのカーゴパンツにこの庭園は準備不足だった。ふくらはぎの辺りを蚊に食われて仕方なかったのだ。結局さほど長居する事もなく僕は百花園を出て、再びバスを待った。次の目的地は、すぐ先にある東白鬚公園。ここでヒマワリを見て、今回の旅はひとまずその大義名分を果たす事になる。

ここまで8本。この長いバス旅の折り返し地点だ。待つ時間が十分にあるほど、スケジュールは順調に、というかむしろ早く進んでいた。

それにしても、今日はこんな風にして一体何度バスを待ったことだろうとつくづく思う。

僕がバスを結構好きな理由は、座席の作りにあるんじゃないかと思っている。個人のスペースというものが、電車に比べると割と確保されているように感じるのだ。列車などから見える車窓には及ばないけど、バスから眺める雑多な町の日常の景色、聴こえてくる生活の音。町中を走るからこそ感じられるものがそこにはある。そしてバスという存在は、どことなくポップだ。別に電車や列車が嫌いなのではない。ただ、都会で暮らしていると、電車の中は人が多すぎるのだ。生まれながらに東京人でもそう感じる。もしゆっくり時間をかけて目的地へ行く事ができるのなら、どちらかといえば僕はバスを選んでしまう事がある。ただそれだけだ。

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