同潤会アパート
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第三十七回 壊す街、創る街(1)

3月の下旬、同潤会青山アパートが取り壊されるという話はすでに多くの人の耳に届いていた。代官山にあった同潤会アパートが壊されてから、もう随分と経つそうだが、代官山は今でもやはり代官山然としているなと思う。表参道から同潤会アパートがなくなっても表参道であることに変わりはないのだろうか。

移り変わりの早い東京の中で、当然のように佇んできたモノがなくなる。29年間東京で生きてきた僕にとって、それ
極私的東京百景認定034
掛線
表参道編
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表参道
は初めてかもしれない経験となる。このサイトを始めた時、「今は現在の写真しか撮れないから、昔の街は自分の記憶を頼りに文章で表現しよう。写真だけを使って昔と今を比べるのは30年後くらいになるだろうな」と思っていた。

しかし、意外にも表参道で早くもそれが実現すると判って、いいのか悪いのか、僕はワクワクしてしまった。歴史ある建造物がなくなり、新しいモノが生まれる時に同じ時間を共有することが、たまらなく嬉しく思えてきたのだ。

別に何の縁もゆかりもない場所ではある。「極私的東京」というテーマにどれだけ見合うのか疑わしい気持ちがないわけでもない。それでも、東京の今を切り取りたいという欲求を否定したくはなかった。30年後の財産になるかもしれないという予感。それだけのために。

というわけで、僕は3月に表参道でこれらの風景を切り取ってきた。「これ、いつ壊すんだろう」
カメラを向けながら思ってた。早く壊せということじゃなくて、まるでこのままなかったことになりそうな、これから壊される建物にはとても見えない、といった雰囲気がしたからだった。内心、自分も心のどこかで「それもアリ」と感じていた。しかしアパートである以上「老朽化」を避けて通ることはできない。

古い建造物であっても人がそこで生活を続けてきたヨーロッパのそれらとは、耐久力のようなものの違いを感じた。日本とヨーロッパとの間には、モノを残し続けることに、これほどの差があるなんて・・・。

それから三ヶ月、僕はいろいろな場所へ出かけ、そして少しの間入院などもしたが、同潤会青山アパートはすでに取り壊されていた。「あれ、いつ壊したんだろう」
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