お品書き
第一回『浅草』篇
第二回『聖蹟桜ヶ丘』篇
第四回『権田原』篇
第五回『参宮橋』篇
第六回『桜上水』篇
第七回『大蔵』篇
第八回『門前仲町』篇
第九回『西原』篇
第十回『お台場』篇
第十一回『高尾山』篇
第十二回『分倍河原(前編)』篇
第十三回『分倍河原(後編)』篇
第十四回『渋谷区本町』篇
第十五回『初台』篇
第十六回『善福寺川緑地』篇
第十七回『九品仏』篇
第十八回『等々力渓谷』篇
第十九回『笹塚』篇
第二十回『幡ヶ谷』篇
第二十一回『代々木』篇
第二十二回『谷中』篇
第二十三回『巣鴨』篇
第二十四回『雑司ヶ谷』篇
第二十五回『明治神宮外苑』篇
第二十六回『光が丘公園』篇
第二十七回『立会川(品川区)』篇
第二十八回『高井戸・浜田山』篇
第二十九回『日野』篇
第三十回『日野橋(前編)』篇
第三十一回『日野橋(後編)』篇
第三十二回『夢の島マリーナ』篇
第三十三回『京王永山(前編)』篇
第三十四回『京王永山(後編)』篇
第三十五回『根津』篇
第三十六回『石神井公園』篇
第三十七回『表参道(同潤会アパート)』篇
第三十八回『京王多摩センター』篇
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第三回 東京の「大宮」のゴクミ
東京都内の公園の中でも、とりわけ23区内ではかなり大きい部類に入る杉並区にある和田堀公園は、京王井の頭線「永福町」駅から井の頭通りを左へ行き、交差する方南通りを右へ入ったところにある。駅前からは歩いてザっと10分ほどの所だ。Mの文字を横に引き延ばしたような、大きく湾曲した公園には、サイクリングコースからジョギングコース、児童遊園に野球場にサッカー場まである。これだけあれば文句なしの多目的運動公園なのだ。新宿西口からも、京王バス「永福町」行きに乗れば簡単にアクセスできる。
永福町側の入口には大宮八幡宮があり、公園の前に立ちふさがって守っているような配置だ。この公園を縫うようにして流れている善福寺川は、東から流れる神田川から中野区弥生町あたりで分岐し、そのまま西北へと進み、吉祥寺にある善福寺公園にまで伸びている。ちなみにこの公園は、厳密にいえば、東側が和田堀公園、西側が善福寺川公園だ。
家を出たのは1時30分。自宅のある幡ヶ谷から歩いて行くことにした。甲州街道を挟んで向かいにある、笹塚駅前まで続いている緑道公園へ。世田ヶ谷区大原の緑道公園へ移る途中、「たこの吸出し」というヘンな看板を見た。お吸い物? 代田橋駅前まで続く緑道公園で、こういう木(写真上)を見て、不憫だなと思った。幹より太い枝は破たんしてしまうのだ。甲州街道へ出て、和泉給水所のところで井の頭通りに入る。あとはまっすぐ永福町まで。
大宮公園。昔から僕はそう呼んでいた。僕にとっては大宮公園という呼びかたの方が身近だ。中学時代、社会科の教師が、「大宮公園でゴクミを見た」といって自慢していたというウワサが出回った。当時、第一回国民的美少女グランプリとして名高かったゴクミである。F1レーサーJ・アレジ(現在は引退)と結婚したあのゴクミである。一応記しておくが、ゴクミとは後藤久美子のことである。映画主演二作目の共演相手がデビューしたての吉田栄作だったという、あの後藤久美子である。渋谷区民の僕らには、大宮公園に行けばゴクミに会えるかも知れないという期待よりも、ゴクミが杉並区民だったことの方がちょっとした衝撃だった。杉並かよ! 隣だよ!
埼玉県の大宮しか知らなかったから、最初は少し面喰らったのを覚えている。友だちの口から大宮公園の名を聞いた時は「行動範囲広いな、こいつ」と思ってしまった。実は自転車でも行ける杉並区だったことを後から知った。
善福寺川のほとりを眺めながら、僕は比較的軽やかに歩いていた。水場にはカラスも多かったが、カモも多かった。いくつかの橋を通り過ぎて、折り返し地点(と自分の中で決めた)の神通橋を回ったあたりでevianを買い、こまめに給水しながら歩を進める。かつてココを訪れた時に見て歩いたのは、今にして思えば、全長の5分の2くらい。今回、公園の端から端まで歩いてみたら、往復でおよそ一時間20分かかった。本当に大きな公園だ。自宅から一時間少しかけてここまで来ていたので、足はもう痛くなっていた。自分を追いこしてゆく熟年ランナーが一人、また一人。頑張れ!若者。
サッカー場まで戻って一服したところで5時の鐘が。来た道を辿るようにして帰路についたが、足がパンパンで前に出ない。こんな時に限って、通り過ぎる店からいい匂いがしたりする。というわけで永福町駅前で無念のリタイア。こういう万が一の時のために帰りの交通費は確保しておくべきなのである。京王バスで本町三丁目あたりまで戻り、そこから最後の気力を振り絞って帰宅した。ちなみに、永福町駅前商店街はかなりの穴場である。公園内に売店があるが、僕はこの駅前商店街をさっとひやかしていくことをおすすめする。
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