第二十七回 変わる予感を確かめに
平成十五年二月、品川区にある立会川でボラが大量発生したというニュースが賑わしている。
とあるニュースで大学教授が発した一言「水が綺麗になったからでしょう」に強く惹かれた僕は、例のごとくバスを乗り継いでココまでやってきた。
今まで「水が綺麗」じゃなかったから魚がいなかったのだという逆説を打開する何かがある。そんな気が。
お品書き
第一回『浅草』篇
第二回『聖蹟桜ヶ丘』篇
第三回『和田堀公園』篇
第四回『権田原』篇
第五回『参宮橋』篇
第六回『桜上水』篇
第七回『大蔵』篇
第八回『門前仲町』篇
第九回『西原』篇
第十回『お台場』篇
第十一回『高尾山』篇
第十二回『分倍河原(前編)』篇
第十三回『分倍河原(後編)』篇
第十四回『渋谷区本町』篇
第十五回『初台』篇
第十六回『善福寺川緑地』篇
第十七回『九品仏』篇
第十八回『等々力渓谷』篇
第十九回『笹塚』篇
第二十回『幡ヶ谷』篇
第二十一回『代々木』篇
第二十二回『谷中』篇
第二十三回『巣鴨』篇
第二十四回『雑司ヶ谷』篇
第二十五回『明治神宮外苑』篇
第二十六回『光が丘公園』篇
第二十八回『高井戸・浜田山』篇
第二十九回『日野』篇
第三十回『日野橋(前編)』篇
第三十一回『日野橋(後編)』篇
第三十二回『夢の島マリーナ』篇
第三十三回『京王永山(前編)』篇
第三十四回『京王永山(後編)』篇
第三十五回『根津』篇
第三十六回『石神井公園』篇
第三十七回『表参道(同潤会アパート)』篇
第三十八回『京王多摩センター』篇
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ここは野次馬らしく、川の傍のコンビニで買い物をすることに。この店のオバチャンが風邪マスクをつけながら、やけに威勢よく働いているのがチョット面白かった。お金を落としてゆこうという気になってしまった。
川の水は思いのほか濁っていた。「綺麗になった」というのは気のせいだったのだろうか。これでは何も見えない。ここは一つ子どもの傍にいってみようと思った。好奇心旺盛な子どもの目はこういう時に威力を発揮するのが常だ。
僕は子どもが釣りをしているのが好きだ。大人がやっているのを見ても全く面白く見えないが、子どもの釣りは、魚ではなくまるで大志を釣ろうとしているように見えるからだ。
「ボラ〜、ボラちゃん出ておいで〜」
子どもの声に、なんだかコチラがいたたまれなくなってきた。確かに何かの群れは確認できた。これがボラなのかどうかは正直よくわからなかった。最初、僕はそれを水草だと思っていたくらいだ。
周囲の話に耳を傾けてみると、どうやら前日は沢山いたらしい。もしこれがボラだったとしても、本物って随分小さいんですね。
先ほどまでいたテレビ局の取材クルーがいなくなると、ギャラリーは一人また一人と、この川に架かる浜川橋を後にしてゆく。日が暮れてきたのだ。
「昔はいたんだけどね。ヘドロがたまっちゃって・・・」
隣にいた年輩の男性としばし続けた会話の中のそんな言葉が少し寂しかった。
「水が綺麗になったから」魚が沢山きたというのは、すごい一言だった。今までは魚が寄り付かないほど水が汚かったということでもある。
立会川がその答えをあっさり見せたような気がして、僕は是非ともこの場に足を運びたかったのだ。