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第二十二回 蛇の道はへび
文化の日である11/3、古き良き東京の町文化に触れてみようという、あまりにも嘘臭い口実で、僕は谷中へ出かけてみることにした。
谷中は下町というイメージが世間に浸透しているけど、実は山の手である。「下町」という言葉が「昔ながらの東京の街並の面影を残す場所」として僕らの頭の中に自然と定義されているせいだろう。今やそれについて何の違和感もない。「甲子園」と一緒だ。
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この日は都営バスだけを乗り継いで上野まで来た。上野公園から不忍通りを歩いて赤札堂のある交差点まで来て、言問通りを右へ入ると、さて、谷中だ。
初めての町はとっかかりが必要なので、とりあえず「下町風俗資料館」あたりから攻めることにした。谷中という町は、地域の半分くらいがお寺という寺町で、大きな坂の多い町でもある。そして、一丁目や六丁目などの表に面した区域に昔ながらの街並が残っているのに対して、二〜四丁目の、いわゆる谷中の内側にある区域に新しい街並が佇んでいる。ちょっと変わった町だ。だから、普段、散歩の途中で裏道へ入って何かを発見する、というパターンとは違う歩き方をしているような錯覚がある。
泉麻人『新・東京23区物語』で予習していたので、谷中二丁目にある「へび道」にも行ってみた。本当にクネクネしている。蛇の道はへび・・・音読みを訓読みにしただけともとれることわざを頭に思い浮かべてみた。しばらく歩いたがクラクラしたので途中で引き返す。果敢にもチャレンジしてゆく自転車の家族連れを横目にしばらくブラブラして、二丁目の、根津との区境まで来た。
「貸し本」という看板が目についた。貸し本一本の店なんて、今どき珍しい。思わず惹かれて近寄ってみる。どうやら一時閉店している模様。「私もいささか歳には克てぬ事に気付き・・・」とある。参った。「克てぬ」という字がスゴイ。何もかも承知させてしまいそうなとてつもない重みを感じた。32年も貸し本を続けてきた主人の顔を拝みに再び来ようと僕は決めた。
(ここに掲載されている以外の写真はこちらへ)
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浅草や神田に対して、谷中・根津・千駄木のいわゆる「谷根千」と呼ばれる地域がある。
ネコの町とも言われる谷中には浅草や神田のような洋食好きをとりこにさせる店はない。でも、ゆったり落ち着いて散歩のできるイイ町だと思う。
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