西原商店街を抜け、ひたすら坂道を下る。小田急線沿いに辿り着いた。右へ行けば代々木上原。僕は左へ歩いて代々木八幡駅を目指した。
代々木は渋谷区の中でも緑が豊富で、居住区域としての印象が高い。都内随一の規模を持つ代々木公園、明治神宮が含まれるせいもある。
「春の小川」のモデルとなったのは宇田川の支流である河骨川。現在は暗渠に。小田急線の線路沿いに設けられた細い歩道がその名残りを伝えている。唯一ある石碑には汚い落書きが。紀元300年頃のキリスト教美術の壁画を現代に残した思いとは程遠い。思いを放棄した駄物に無念のみがこだまする。
代々木公園で一服した僕は引き返して山手通りを横切り、かつて「タヌキ山」と呼ばれた場所へ向かった。小学校1〜2年の頃、僕は友だちとカマキリをよく取りにいった。あまり上手ではなく、バッタばかり捕まえていたが、このタヌキ山でもカマキリは取れた。
何故タヌキ山かといえばタヌキが出る山だからだが、実際にタヌキを見たことはなかった。脇に入った路傍の草むらを、木切れかカラーバットで叩く。すると、脱皮を3〜4度終えたくらいの体長4センチ弱ほどのカマキリがポトリと落ちてくるのだ。カマキリというのは大人になるまで6〜7度の脱皮をくり返す。
久しぶりに童心に帰ってやってみようと思っていたが、右の写真にも明らかなように、すでにタヌキ山は削られてマンションに様変わりしていた。
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