お品書き
第一回『浅草』篇
第二回『聖蹟桜ヶ丘』篇
第三回『和田堀公園』篇
第四回『権田原』篇
第五回『参宮橋』篇
第六回『桜上水』篇
第七回『大蔵』篇
第八回『門前仲町』篇
第九回『西原』篇
第十回『お台場』篇
第十一回『高尾山』篇
第十二回『分倍河原(前編)』篇
第十三回『分倍河原(後編)』篇
第十五回『初台』篇
第十六回『善福寺川緑地』篇
第十七回『九品仏』篇
第十八回『等々力渓谷』篇
第十九回『笹塚』篇
第二十回『幡ヶ谷』篇
第二十一回『代々木』篇
第二十二回『谷中』篇
第二十三回『巣鴨』篇
第二十四回『雑司ヶ谷』篇
第二十五回『明治神宮外苑』篇
第二十六回『光が丘公園』篇
第二十七回『立会川(品川区)』篇
第二十八回『高井戸・浜田山』篇
第二十九回『日野』篇
第三十回『日野橋(前編)』篇
第三十一回『日野橋(後編)』篇
第三十二回『夢の島マリーナ』篇
第三十三回『京王永山(前編)』篇
第三十四回『京王永山(後編)』篇
第三十五回『根津』篇
第三十六回『石神井公園』篇
第三十七回『表参道(同潤会アパート)』篇
第三十八回『京王多摩センター』篇
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第十四回 幻のカツ丼
地元といっても、本町4〜5丁目あたりは、もう10年くらい来ていなかったような気がする。なんで来なかったかは判らないけど、大学に入ってからはサークルなどが生活の中心になっていたせいだと思う。いい機会だから、ゆっくりと歩いてみた。本町四丁目には酒呑地蔵尊というのがある。本町小学校のとなりだ。横の遊歩道は昔、川で、ここで溺れた酔っぱらいを供養し、これ以上溺れる酔っ払いがでないように、と祀られたのである。
僕がこの町にある本町中学校へ通っていた頃、僕らの間で伝説級の評判を迫していた「やまもと」という定食屋があった。そこで食べさせてくれるカツ丼、通称「やまもとのカツ丼」は、絶品だった。前に食べたのはいつのことだろう。当然、僕は「やまもと」を目指して歩いた。嬉しいことに「やまもと」は今でも営業中。看板はなく、入口にポツンと表札のように「やまもと」とあるだけだ。
日曜午後2時ということで、客は誰もいなかった。当時とかわらない様子の店のおばさんにカツ丼を注文した僕は、壁のメニューに目を向けた。値段が当時と変わってないところがスゴイ。値段はどれも手ごろだが、なぜかカツカレーだけが頭一つ抜きん出た値段設定という判らなさが面白い。しかも、よく見ると、「レー」と伸ばすところが、アルファベットの「I」になっているところも見逃せない。怪し気な電子レンジの音を2回聴いた後、僕はカツ丼を食べた。ここのは「カツ煮」でないところが○。玉子の半熟加減はどこにもないオリジナリティがある。
店を出た後、中学時代によくたむろした公園へ。この側にある渋谷区民施設では、片瀬東浜の国民保険海の家のタダ券がもらえる。今でももらえると思う。中学一年から僕は毎年利用していた。今年あたり、久しぶりに使ってみようか。
不動通り商店街へ出た。中学時代、僕は友人と「笹金」という肉屋で4本\200の手羽先を買って、よく食べた。これがマジで旨い!ママチャリで流すと友人を次々に拾ってゆき、いつの間にか7、8台の集団になる僕らは、「笹金」の手羽先で最後を締めるのがパターンだった。途中に通る焼き鳥屋が僕らを見てよく睨むので、「睨み屋」と呼ばれていた。無理もない。僕らはその「睨み屋」から10mほど離れたマンションの前で手羽先の骨を食い散らかしていた悪ガキだったのだ。中学一年、1987年頃の話だ。
僕は記憶の中でタイムトリップしながら、そのまま初台へと流した。(次回へ続く)
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