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第十三回「カッコウの啼く小径」(分倍河原篇パート2)

かつての想い出の場所をしばし懐かしんだ僕は、遊歩道の先へ行ってみようと思って歩いた。右側は崖になっていて、下に細い小川が流れている。民家との間に挟まれるようにして遊歩道は急に幅を狭くしてゆく。同時に道も舗装されたものから砂利道へと変わった。

何だか一気にローカルな雰囲気になってきた。こういう道に出くわした時はワクワクしてくる。せっかく来たのだから、この田舎を彷佛とさせるような「あぜ道」がどこまで続くのか確かめてみようと決めた。散歩をしながら周りの景色に目を止めるのは当然として、その匂いだとか音にまで気を止めようと思うと、自然に歩が緩んでくる。

普段、散歩をする時に一つか二つくらい「テーマ曲」があったりするけど、今日ばかりは何もいらない感じ。なんせ、この道ではカッコウの啼き声が聴こえるのだ(左上の写真あたり)。思わず足を止めて一服。左にはレンゲ畑が広がっている。ああ、これはもう東京じゃ、ない。「行ったことがありそうな、知らないどこか」なんだ。そう思うことにした僕は「その気」になって、更に先へと歩いた。

とにかく、草木が色鮮やかで綺麗。川に目をやれば、魚も泳いでいる。こどもの頃、田舎でこんなことがあった。近所に一件しかない田んぼに囲まれた電器屋へと続くあぜ道で、お菓子を買うためにもらった\100を落としてしまい、泣きながらおばあちゃんと一緒に暗くなるまで探した。まだ幼稚園にも入ってない年だった。母親が腰の手術をしている間、数カ月、僕は栃木の田舎へ預けられていた。
思えばあの頃からよくあぜ道を歩いていたのだ。大人になってもやってることが一緒だと情けないようなおかしいような。でも嬉しいような。出かけ先で落とし物をする点もあの頃のままだ。3月に茅ヶ崎へ行った時、お気に入りのターボライターを無くしてしまったのだ。一度は神隠しのせいにしたけど、あれはただの置き忘れです。

帰り道、トカゲを捕まえた小学生を見つけて写真を撮ってあげた。でも、不注意でちゃんと撮れていなかった。引き返してもう一回撮らせてもらおうかと思ったけど、もう分倍河原駅のそばまで来てしまっていたのであきらめた。家に帰っても残念でしかたなかったので、僕は記憶が新しいうちにイラストにして掲載することにした。あの子たちとの約束はこれで一応果たせたとは思うのだけど。見てくれてるかな?


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