町歩きエッセイ『極私的東京。』タイトルロゴ
掛線
.

第十一回 都心発、山登り

都内のお花見最後の場所として、今回、高尾山に来た。学生時代に登って以来、運動もかねて楽しもうというつもりで来る動機は変わっていない。この高尾山へは京王線準特急で新宿から1時間ほど。運賃はわずか\350。お手軽、お気楽。

今回選んだ登山コースは「自然研究路6号路」。琵琶滝を通って山頂を目指す。そういえば、高尾山公式HPで、何やら滝に打たれる人(なんて言い方だ)を募集する情報が掲載されていた。もしやと思って覗いてみると、琵琶滝の前に白装束の若者たちが。
滝に打たれると雑念が吹き飛ぶというのは本当なんでしょうか。

さて、この琵琶滝は自然研究路6号路をスタートしてすぐのところにある。つまり山頂まではまだ8割以上あるのだが、僕は早くも息がきれて、顔を火照らせてハーハー、ヒーヒーと昼間から恥ずかしい声をあげながら山を登るはめになってしまった。

道は狭く、傾斜があり、自然研究路だけあって、足場は険しい。なおかつ下山する人が多く、歩きづらい。登りにしてはかなり大変なルートを選んでしまったようである。参った。しかし、すれ違った高校生の集団に「こんにちわ!」と挨拶され、一気に疲れが吹き飛んでしまった。いつの間にか自分も行き交う人に声をかけはじめていた。山の出会いというのは気持ちがいい。知らない人とこんなに簡単に言葉を交わせるなんて。

とはいえ、やっぱり山頂までの道のりは険しかった。およそ1時間30分ほどで、なんとか山頂に辿り着く。茶屋が砂漠のオアシスみたいに見えた。ここ山頂からの景色は爽快の一言。そして、ここでも出会いが。写真の撮影を頼まれる。

しばし休憩の後、下山がてら桜を探しに再び別のルートを歩き出した僕は、一丁平の方へ行って綺麗な桜と清々しいカッコウのさえずりを聴いた(こういう音をHPで紹介できるようにしたい)。
そして、もう一度山頂へ戻り、ケーブルカー乗り場を目指した。さすがに疲れました。乗り場近くには蛸杉があった。とても迫力がある不思議な色と形をした根っこが太い杉に巻き付いている。自然の持つデザイン力に圧倒されつつ、僕は山をあとにした。卵焼きと唐揚げを持ってこれなかったのが唯一悔やまれる極私的プチハイキングでした。


『極私的東京。』はリンクフリーです。
[極私的東京。] wacha all rights reserved 2001-2003